1.ハトムギ はと麦(鳩麦)
漢方薬の分野では,ハトムギの殻を取り除いたものを
「苡仁(ヨクイニン)」と呼び,日本薬局方で認められている薬である。
とりわけ中国では2000年の昔から,薬というだけでなく
滋養強壮の健康食として愛用され続けている。
ハトムギは昔から「イボころり」と呼ばれるほど,
イボ取りに効果がある。
その他の民間伝承の効果としては、神経痛、リューマチ、
健胃、整腸、利尿、糖尿病、 肥満、腎臓病、胆石、シミ、
ソバカス、さめ肌、荒れ性肌などによいといわれている。
これは,ハトムギが体内にたまった老廃物やガス等を追い出す力、
新陳代謝作用や利尿作用があるからと思われる。
最近では、漢方処方だけでなく近代科学の光があてられ
ハトムギが体内の異常発達を抑制する力があり,この抑制作用と
新陳代謝作用が腫瘍組織を取り除き、ガン組砲の増殖と移転を
くいとめる「抗ガン作用」や「鎮痛作用」等が学会でもデータ
として発表され話題をまいている。
また,家畜に対しても,牛のガンといわれる「脂肪壊死症」に
ハトムギ殻実が治癒効果を示すことが明らかにされた。
その他,不妊牛の受胎率を高めたり.家畜体の不調時に与えると
回復が早くなったり,養鶏分野でも利用されはじめている。
2. ハトムギの栄養価値
ハトムギの成分で長大の特長は,穀類の中でも高蛋白、
高脂肪であり食物繊維を豊富に含みビタミン、ミネラルの
含有率も比較的に高いことである。
蛋白質はバン用の小麦粉に近くアミノ酸組成は、グルタミン酸、
プロリン、ロイシン等が主体で,一般の植物性蛋白質のアミノ酸
組成と共通しているので現在大豆や小麦によって供給されている
蛋白質と大体同じである。
脂肪含有率もきわめて高く,殻粒中よりもむしろ糠に含まれる。
脂質は不乾性油にちかい半乾性油に属する点で,米脂質、
小麦脂質とはやや性質が異なっている。
ハトムギ脂質の脂肪酸組成はオレイン酸が大半である。
しかし脂肪含量の高い穀物なので,リノール酸のきわめてすぐれた給源となる。
なお薬効性は脂肪中に多いといわれている。
炭水化物は他の穀類に比べてやや低い。
澱粉粒の形状は、米の約2倍で、
トウモロコシ澱粉粒と類似しているといわれる。
3. ハトムギ原料
供給の大半が輸入に依存している。
その大部分はタイ・中国の2カ国である。